竹パウダー肥料

竹パウダー(または竹粉)は、竹の粉砕技術の改善に伴い最近よく知られるようになってきた自然肥料です。

竹パウダーがどのような資材であるか説明致します。

竹パウダーとは粉砕用の専用機(チッパーシュレッダー)でつくられた竹の微粉末(mm サイズ)のことです。生成後、竹パウダーを目的に応じて発酵、熟成させます。成分調整のため、米糠などの自然素材を添加して発酵させることもあり、また目的に応じて発酵方法を選択(好気発酵、嫌気発酵)し、またはその両者を繰り返し行うこともあります。こうしてできたものが、竹パウダー肥料です。2005 年ごろから自然肥料として脚光を浴び、各地の大学、農業試験場でその性能と適用例の研究が報告されるようになりました。

竹パウダー資材の主な特徴として、大量の乳酸菌を含むこと (1g あたり 1億~50億個)、竹材を微粉砕しても特有の細孔組織(多孔質組織とも言います)を保っていること、高い C/N 比を持っていることが知られています。

現在、竹パウダーは主に農業、園芸分野と生活分環境分野で使用されています。それぞれについて解説します。

①農業、園芸用土壌改良資材として

土壌改良資材とは、その名の通り土壌を改良する資材ですが、田畑の土壌そのもの(保水性、保温性、通気性など)や土壌の微生物群を農作物の生育に良い群集に改善することを目的とした資材です。

竹パウダーは土壌の中にたくさん生息している微生物を農作物に適した群集に改善する効果があります。

農作物の生育に微生物の働きは非常に重要です。特に有用微生物群(腐植性細菌、糸状菌、窒素固定菌、乳酸菌等)は、土壌中の有機物を分解し、作物に必要な養分(アミノ酸、ビタミン類、核酸類等)を生産する働きがあります。土壌中で有用微生物群が欠乏すると、土壌中の有害菌が増殖し、農作物に障害がでたり、連作障害を起こします。

また竹には特有の細孔組織(1/1000 ミリサイズの孔を無数に含む組織)があります。微粉砕したパウダーでもその細孔組織はそのまま維持されています。資材中の大量の乳酸菌はこの細孔組織に存在しており、田畑への散布後は、それら乳酸菌と、有用微生物群の増殖基材となります。またその多孔質性から土壌の通気性の改善に大いに役立ちます。

竹パウダーが土壌改良資材として有用なのは、こうした理由からです。

実際に使用されている方々からの報告をまとめてみると次のようなものがあります。

1. 根つき、根の張りが良くなり、病気にかからなくなった。

2. 肥料、堆肥の量が減り、農薬も少量で済むようになった。

3. 生育が早くなり、色付きがよく、甘みも増した。

4. 収量が増加した。

5. 連作障害が減った。

一方で、大量に散布すると、土壌の窒素飢餓を招き、農作物が生育不良になった結果も報告されています。

使用方法は次のとおりです。

1.田畑・花壇で使用

竹パウダーを土壌改良材として使用する場合の標準的な使用量は10a当たり50kg以下として土中に鋤き込みます。この量以下であれば窒素飢餓を起こすことはなく、作物の生育を助けるよい働きをします。竹パウダーを表面に散布したらすぐに鋤き込みます。十分に土と混和して、土壌中に均一にパウダーが行き渡るようにすると高い効果が得られます。堆肥や肥料などと一緒に鋤き込んでも大丈夫です。

2.鉢・プランターでの使用

鉢やプランターの場合、土、堆肥、肥料などを合わせた全体の量に対して3%程度を混入し、よく攪拌します。

②生活環境分野の資材として

脱臭と発酵促進

ご家庭や田畑でコンポストをご使用の場合、コンポスト堆肥10kg あたり 竹パウダー 2kg を散布、攪拌することにより、嫌な臭いを抑制し、合わせて発酵促進の効果があります。ご家庭の生ゴミの場合も同様ですので、生ゴミ  1kg あたり 200 g の竹パウダーを混入して下さい。

畜産業では、畜舎の床表面に少量(1kg/ 10m2) 散布するだけで臭いが軽減する報告があります。